未知の世界5


前を歩く石川先生の後ろを重たいカートを押しながら歩く。







今日の看護師さんは師長さんだから、さすがに師長さんにカートを持ってもらうわけには行かず、力いっぱい私が押している。







あと隣の部屋で、回診は終わる…。








だんだんと石川先生との距離が離れて行く。







子供たちのいる病室に入る、その時。







ガタッ!








カートを扉にぶつけてしまった。







その音で石川先生と師長さんがパッと振り向き、私を見る。








「す、すいませんっ!」








慌てて謝る。石川先生の顔は少々怒り気味。






子供たちの前だからか、石川先生の普段の様子から、こんな時には檄が飛ぶ。







このカートのおかげで、まだ10時前なのにヘトヘト…。







回診どころではなく、正直なところ早く終わって欲しいとまで思ってしまった。