未知の世界5


「!?かなちゃんっ!?」







私、ちゃんと座れてるけど…。







「かなちゃんっ!顔が真っ赤だな。」








お父さんの声。








「あらやだ、長湯しちゃったのね。」







そう言いながら、何かを用意しているお母さん。








あぁ、私。のぼせたんだ〜。







気づくと仰向けにさらている。








お母さんが持って来てくれた氷枕、気持ちいい。







お父さんは横で私の手首を掴んで、脈を測ってくれてるのかな?





だんだんと状況がのめてきた。







ガチャ






と扉が開くと、







「かな!?どうした?」








幸治さんの声。








「長湯してのぼせたみたいだ。」








お父さんが幸治さんに説明している。







そしてそれが終わるとどこからか出てきた聴診器を耳にかけるお父さん。







『だ、大丈夫です。』








聴診器が胸に当たらないように手でよけてみるけど、すぐにどけられる。







冷たい聴診器が胸にあたる。







あぁ、きっとあの大きな傷を見られている。






そう思うと、また気持ちがブルーになる。






静かな時間が流れる。お父さんの聴診器は、とにかく長い。







その間、当然のようにお母さんも幸治さんも静かにしている。






トクン、トクン、トクン…。








私には自分の胸の音が聞こえはしないけど、感じられる。








お父さんもこの音を聞いてるんだな、と思いながら目を閉じた。