未知の世界5


帰りの幸治さんの車の中。




「まだ何か考え中?」







『ゔぅ……。』






定時で帰ること、やっぱり腑に落ちない…。







信号待ち、私の顔を覗き込む幸治さん。







『…なんであの条件を飲んでしまったのか…な。』







「当たり前だろっ!その体で残業して当直してって、耐えられないだろ?」








『でも、みんなあの後に仕事してってるのに。石川先生だって…。』










「じゃあ、その体で無理してまた入院になってもいいんだな!?」









『それは…。』









言葉に詰まったところで信号が変わり、車が動き始める。







ようやく幸治さんからの視線が外されホッとする。










「とにかく、今は仕事に体が慣れることだ。研修中だからって焦るなよ。」










たけるはもうほとんど研修が終わろうとしているのに…。






今日だって、幸治さんの担当患者のカルテ、全部たけるが打ち込んでたし。







患者さんへの治療方針をたけるにどうするか幸治さんが聞いてた。
たけるはどんどん進んでいってるのに、自分だけ…。









そんなこもを考えていると、車はマンションに着いた。