未知の世界5


「なんか言いたいこと、あるんじゃないのか?」






突然、まだ部屋にいた石川先生が部屋を出る間際に聞いてくる。






………。








言いたいことは山ほどある。







こんなはずじゃなかった…。








手術してすぐに医局に戻れるとも思ってたし、生活だって今までより食事に気を遣わなくてもいいし。心臓も強くなると思ってた…。





それに…それに…。






『…ありません。』





語尾が震えていた。





怖くて口にできない…。






「そうか…。」








そう言うと部屋を出ていった。