「なんか言いたいこと、あるんじゃないのか?」 突然、まだ部屋にいた石川先生が部屋を出る間際に聞いてくる。 ………。 言いたいことは山ほどある。 こんなはずじゃなかった…。 手術してすぐに医局に戻れるとも思ってたし、生活だって今までより食事に気を遣わなくてもいいし。心臓も強くなると思ってた…。 それに…それに…。 『…ありません。』 語尾が震えていた。 怖くて口にできない…。 「そうか…。」 そう言うと部屋を出ていった。