未知の世界5


「かなちゃん、そろそろまた外に出てみてはどうかな?」





晩ご飯時に、前に座っているお父さんが尋ねてきた。






「…そうですね。」







どうしても乗る気にならない私は、曖昧な返事しかできない。







『あと数日で今度は入院して検査があるからな。』








と幸治さんが呟く。





そうだった…。忘れてた。
毎週入院して、心筋生検があるんだ。心臓の筋肉をカテーテルで採取して検査をする…。
カテーテルでも手術には違いない。
嫌だな。怖いよ…。










「かなちゃん…?」







お父さんが私の顔を覗き込む。







私は黙って食事を続けた。