それから1カ月が経ち、私は完全に体力を取り戻した。
ようやく復帰となった今日、医局へ一番乗りした。
幸治さんは早く来なくていいって言ってたけど、私は早く来て今まで休んでた分を取り戻したかった。
ゴミ捨てに掃除、コーヒーを淹れて今まで休んでた分のカルテや新しい通達などなどに目を通した。
すると
『おはようございます。』
元気な声のする方を見ると、
「『えっ!?』」
うそ!信じらんない。
『先輩っ!』
「直子っ!」
まさかのまさか、研修医とは私の高校時代の部活の後輩、直子だった。
『自宅で療養されてた方って、先輩だったんですね!』
「なおこー!研修医って、あんなだったのー!?」
私は興奮して、直子に飛びついていた。
そんなやりとりをしていると、たけるがやってきた。
『おはよう、かな。久しぶり。もう体調は戻ったの?って、何?君たち知り合い?』
二人仲良く話してる姿を見て入ってきたたけるは驚いていた。
「高校時代の後輩っ!まさか直子が医者になるとは。」
直子は照れ臭そうにしていた。
『私も先輩が医者になってるとは…。』
「あれ?直子の家はお金持ちでって聞いたことあるけど、会社でも経営してたとかじゃないの?」
『いや……そういう訳では。あまり人には言ってませんでしたが…、実は父は医者なんです。』
「ぇえっ!そうだったの!?知らなかった!」
『しかもかなの知ってる人。』
横からたけるが話す。
知ってる人?誰だ?
『ここの医局長だよ。』
「ぇえっ!!!!!!」
直子を見ると恥ずかしそうにしている。
『ここでは父は上司です。父とは関係なく、よろしくお願いします。』
「うんうん、もちろんだよ。でも、直子だったならすごく気が楽だよ。
同性だと聞いてはいたけど、内心気の合わない人だったらどうしようかと思ってたけど、直子で良かった。」
『そういえば、かな。
来週から外科での研修が始まるよ。』
えっ!?何!?
「外科での研修って……。」
あ、忘れてた…。石川先生が退院前に言ってたような。
「忘れてた……。外科……研修……はぁ。」
直子との感動の再会は束の間のこと、すぐに気持ちが重くなるような現実が待っていた。
こんな病み上がりの私で務まるのだろうか……外科で迷惑かけないだろうか。不安しかない。
『先輩、噂通りすごいんですね!高校の時と変わらない!』
「いやいや。何もすごくないよ。私なんて絶対うまくいかないよ。」
『高校時代のかなはどうだったの?』
『部活では活躍して、勉強も校内順位はとてもよくて、とても輝いていました。不良仲間といてもそれは変わらないから、みんなが逆に憧れの眼差しで先輩を見てましたよ。』
そんなこと言わなくてもいいのに……。
こうして私の復帰一日目が始まった。



