リハビリをして半月が経とうとしていた。
退院してから既に二回の検診を受けた。
リハビリも順調で、今では買い物も歩いて行っている。家の中のことも、今までお母さんや幸治さんに任せていたけど、ほとんど一人でできるようになっていた。
そして先日の検診では、そろそろ復帰の日まで決められそうな結果になってきた。
と、そんなある夜。
『ん?』
リビングでパソコンを開いて仕事をしていた幸治さんが、声を出す。
「どうしました?」
『なんだこれは?』
といわれパソコンのそばに寄ってみる。
「あ、」
私が以前作ったファイル。
ヤバイ……。仕事という仕事ではないけど、安静にしていなかったと怒られる……。日付もしっかり出てるし……。
『すげぇな、これ。』
え?
キョトンとする私に、幸治さんは開いた表を印字している。
『これ、かなが考えたのか?』
そう。それは患者さんがどういう時に病気の症状が出たのか記録しておく表。私が脳神経外科に処方された薬といつももらっている頭痛ダイアリーからヒントを得て作った。
喘息患者だけじゃなくて、アレルギー、それに内科や外科でもどんな症状でも対応してる表だった。
その日の天気や痛みの程度、症状、どんな時に起きたのか書くことのできる備考欄なども表にしたもの。
「ごめんなさい。それだけです、やっていたのは。後はリハビリか安静にしていただけです……。」
バレてしまってはしょうがない。
『こんな表、よくうまく作れたな。』
へ?
てっきり怒られると思っていたら。幸治さんに表をものすごく褒められた。
『これ、俺が医局長に見せて、うちの病院で配らせてもらえるか、許可とってみてもいいかな?』
印字した表を手にした幸治さんから出てきた、思いがけない言葉に驚く。
「は、はい。」
表を褒められたことも嬉しいけど、何より幸治さんの嬉しそうな顔をすごく久しぶりに見た気がする。
それに私は嬉しくてたまらなかった。
そうか……私が幸治さんを喜ばせることができるのには、私が仕事を頑張ればいいんだね。こんなに喜んでくれるなんて……、
早く仕事に復帰したい!
幸治さんの笑顔を見て、そう強く思った。



