トントンッ
扉の音で目を開けると、自分が帰宅してから今まで寝ていたことに気づいた。
部屋に入ってパジャマに着替えてそのまま寝てたんだ…。
「かなちゃん…?」
返事がなかったからか、心配そうな声をしたお父さんが部屋に入って来る。
「かなちゃん、寝ちゃったかな?」
「…は…い。」
返事を返し終わる前に、持っていた聴診器を耳にはめ、私が体を動かす前に胸元から聴診器を胸に当て始める。
普段は私に聞いてから、いや聞きながら聴診器を当ててくるお父さん。今は何だか急いでるかのように尋ねることもなく私の胸の音を聞いている。
頭は回転してるけど、聴診をされているせいか、眠たいせいか、体を動かさずにしておいた。
静かな時が流れる。お父さんの長い聴診が始まる。
「うん、大丈夫だな。」
すかさず私の額に手を当てる。
お父さんの顔が、私の顔に近づく。
瞳がよく幸治さんに似ている。
見ていると、その瞳に私がうつる。
慌てて目を離す。
「熱もないみたいだな。
リビングに行ける?」
そう尋ねられて、頷き、体をゆっくり起こした。



