未知の世界5


それからすぐに検温に看護師さんが来た時は、ものすごく驚いた……。








私がいなかったこと、知らないよね?







そして朝食を食べ終わると回診がやってきた。






トントン







ノックの後に扉が開く。







入ってきたのは担当の看護師と進藤先生…。






挨拶を済ませ、回診しやすいようにとパジャマの胸元を開ける。








『ん?』








まだ聴診もしてないのに、進藤先生が頭を傾げる。







そしてすぐに首にかけていた聴診器を耳につけると、私の手をどかして隙間から聴診器を当てる。







いつもより慌てている感じもする。







でも何ともないだろうと思いながら、その様子を眺めていると、額に手を当てられる。







気づくと脇に体温計も挟まっている。








何やら看護師に点滴や酸素マスクを指示している。







そして部屋に常に置かれた吸入のスイッチを入れると、私に吸入をさせた。







ゴーーーーー







という機械音と共に








「ゲホゲホゲホゲホゲホ!ゲホゲホゲホゲホゲホ!ゲホゲホゲホゲホゲホッ!!!」







う……、久しぶりに来た。吸入で咳が止まらないこの状況は、普通の発作よりきつい……。







『しっかり目を開けて。』







そう言うけど、結構過酷な状況。マスクタイプの吸入だから、鼻の上に当たっているマスクが、目の下に当たっている。そして次から次へと出てくる咳で、どんどん目が隠れて行く。








進藤先生がマスクをうまくずらしてくれるけど、咳き込む度にマスクは目に当たり、また苦しさと一緒に目を閉じてしまう……。







「はぁはぁはぁはぁはぁ。」







吸入が終わると、呼吸も落ち着いてきた。







そして再び聴診。気づくと点滴とさっきまで付けていた吸入のマスクが、酸素マスクに変わり、さらに酸素濃度を測られていた。








昨日の夜遊びが祟ったのかな……。








と考えていると、挨拶を交わしてから終始無言の進藤先生が口を開く。









『昨日は落ち着いてたのに……。







夜中、いなくなってたんだって?』







ギクッ!







昨日の看護師が言ったのだろう。あの感じだと報告しなさそうだったのに……。








『まだ発作が出て一日経ってないんだから……。』








と、発作いう言葉に、さっき待合室で出た発作を思い出し、ギクッと表情が固まったのが分かった。







その一瞬のことを見逃さなかったのか、進藤先生の眼の奥が光った。







『発作、出てるよね?』







「………………。」








『いつ?』







「……少し前に。」








『どうしてその時に呼ばないの?』








いや、あの状況では呼んだらまずかっただろうし。私にとっては……。







『このままでは喘息と一生付き合うことになるよ!それに、ちゃんと言ってもらわないと困るって、いつも言うでしょ?







このまま僕の治療で治らないと、ホントに病院変わらないといけなくなるよ。』







段々と熱の入っていく進藤先生。







病院、代わっても一緒だよ……。








と喉まで出かかってたけど、そんなことは言えない。








「……ごめんなさい。」








こんな言葉しか出てこない。








その言葉を言えば、それ以上責められないことは分かっている。







すると、ため息をついた進藤先生は、処置を終えると、それ以上何も言わず部屋を後にした。






はぁ……。






つい緊張が解けて私もため息をした。