それからすぐに検温に看護師さんが来た時は、ものすごく驚いた……。
私がいなかったこと、知らないよね?
そして朝食を食べ終わると回診がやってきた。
トントン
ノックの後に扉が開く。
入ってきたのは担当の看護師と進藤先生…。
挨拶を済ませ、回診しやすいようにとパジャマの胸元を開ける。
『ん?』
まだ聴診もしてないのに、進藤先生が頭を傾げる。
そしてすぐに首にかけていた聴診器を耳につけると、私の手をどかして隙間から聴診器を当てる。
いつもより慌てている感じもする。
でも何ともないだろうと思いながら、その様子を眺めていると、額に手を当てられる。
気づくと脇に体温計も挟まっている。
何やら看護師に点滴や酸素マスクを指示している。
そして部屋に常に置かれた吸入のスイッチを入れると、私に吸入をさせた。
ゴーーーーー
という機械音と共に
「ゲホゲホゲホゲホゲホ!ゲホゲホゲホゲホゲホ!ゲホゲホゲホゲホゲホッ!!!」
う……、久しぶりに来た。吸入で咳が止まらないこの状況は、普通の発作よりきつい……。
『しっかり目を開けて。』
そう言うけど、結構過酷な状況。マスクタイプの吸入だから、鼻の上に当たっているマスクが、目の下に当たっている。そして次から次へと出てくる咳で、どんどん目が隠れて行く。
進藤先生がマスクをうまくずらしてくれるけど、咳き込む度にマスクは目に当たり、また苦しさと一緒に目を閉じてしまう……。
「はぁはぁはぁはぁはぁ。」
吸入が終わると、呼吸も落ち着いてきた。
そして再び聴診。気づくと点滴とさっきまで付けていた吸入のマスクが、酸素マスクに変わり、さらに酸素濃度を測られていた。
昨日の夜遊びが祟ったのかな……。
と考えていると、挨拶を交わしてから終始無言の進藤先生が口を開く。
『昨日は落ち着いてたのに……。
夜中、いなくなってたんだって?』
ギクッ!
昨日の看護師が言ったのだろう。あの感じだと報告しなさそうだったのに……。
『まだ発作が出て一日経ってないんだから……。』
と、発作いう言葉に、さっき待合室で出た発作を思い出し、ギクッと表情が固まったのが分かった。
その一瞬のことを見逃さなかったのか、進藤先生の眼の奥が光った。
『発作、出てるよね?』
「………………。」
『いつ?』
「……少し前に。」
『どうしてその時に呼ばないの?』
いや、あの状況では呼んだらまずかっただろうし。私にとっては……。
『このままでは喘息と一生付き合うことになるよ!それに、ちゃんと言ってもらわないと困るって、いつも言うでしょ?
このまま僕の治療で治らないと、ホントに病院変わらないといけなくなるよ。』
段々と熱の入っていく進藤先生。
病院、代わっても一緒だよ……。
と喉まで出かかってたけど、そんなことは言えない。
「……ごめんなさい。」
こんな言葉しか出てこない。
その言葉を言えば、それ以上責められないことは分かっている。
すると、ため息をついた進藤先生は、処置を終えると、それ以上何も言わず部屋を後にした。
はぁ……。
つい緊張が解けて私もため息をした。



