未知の世界5


昨夜は部屋に戻るなりすぐに眠れたせいか、朝はかなり早くに目が覚めた。








夏から秋にかけて、次第に日の入りが遅くなってきたから、5時の時点ではまだ微妙に暗さが残っている。







まだ検温まで1時間もある。部屋にこもってなんていられない……。







そう思うと静かに部屋の扉を開けて、同じ会の待合室に向かった。








日中は誰かしら人がいることから、あまり来ることができない。








小児科で働いているので、私を医者だと知っている人は、この階にはいないと思うけど、それでも会わないようにしたいので日中は来ることができない。







その階によって、待合室の間取りや置いてあるものは違う。







小児科ではほとんどおもちゃや絵本が置かれていて、もちろん遊べるスペースもしっかりとある。








この主に呼吸器、循環器、消化器内科の患者の多い階には、テーブルと椅子が並んでいる。







あるのは大人向けの雑誌、週刊誌、小説など。また、テレビや新聞もあるけど、テレビをつけることはまだできない。







自販機もあるけど、まだ皆んなが寝ている。音を立てるのは気が引ける……。









私は雑誌を手に取り、椅子に座った。









普段雑誌を見ることはほとんどない。








本当はオシャレな格好をして通勤したり、買い物したりしてみたいけど、そんな時間は全くない。








朝早くに起きて出勤したら、白衣で一日過ごし、白衣を脱いだら朝着てきた服で帰宅する。






家ではすぐにお風呂に入ってパジャマになるので、休みの日にしかオシャレはできない。






けど、休みだからといって外に行くのはスーパーくらいで、最近はどこか外に行くことも減った。






それだけインドアな生活をしているので、体力も大してつかないんだと思う。








それなのに、幸治さんのあの肉体美はどこで鍛えられるものなのか。






同じ生活をしていて、私には全くない筋肉……。








最近はあの筋肉に触れることすら減ってしまった……。











……なんてせっかく目の前に雑誌があるのに、全く頭に入らず、ハッと気づくとさっきよりも周りが明るくなってきていた。










そろそろ帰ろう……。







椅子から立ち上がると、お決まりの貧血……。








はぁ……、薬飲んでるのになぁ。











とため息をつくと、結構喉が渇いていたことに気づく。









「ケホッケホッ!」







乾いた咳まで出てきた。








「ケホケホケホッケホッ!!!









ゲホゲホゲホゲホゲホ!!!」







止まらなくなってきた……。









座ったまま呼吸を整えるけど、うまくいかない……。








静かな廊下に響き渡らないように気をつけて咳をする。








「はぁはぁはぁはぁはぁ……。」









少しして、咳が落ち着いてきた。









ふぅ、









と一呼吸おくと、咳はピッタリ止まっていた。









それからまた誰にも気づかれないように、部屋に向かった。









良かった…私の個室から待合室までの間に、ナースステーションがなくて。