「あぁ〜!気持ちいいー!」
屋上には誰もいない。
少し生暖かい風が病院内の空調とはまた違って、心の緊張が緩まる。
やっぱり外がいいなぁ。
そういえば、ここで花火大会見たなぁ。
今では口に出せない翔くんとの思い出。
当時の私にはいまいち理解できなかったけど、今思い出すと翔くんの人を好きになるという気持ちはよくわかる…。
今はそんな気持ちをすることがないんだけど……、ね。
今は今で、幸治さんがそばに居てくれてるけど、最近は夫婦というより患者と医者って感じがどうもしてならない。
幸治さん、私のことをどう思ってるのかな。
悩みは他にもある。
小児外科の件、本当なのかな。
体がもつか心配。プロジェクトを受けるだけだと思っていたのに。
…………
なんて考えていると、ハッとして我に返る。
結構時間が過ぎていた……。
早く部屋に戻らないと。
と、屋上の扉を開ける。
「『きゃっ!!!』」
目の前に看護師が懐中電灯を持って立っていた。
思わずお互い驚いて悲鳴を上げた。
『佐藤さん、こんなところにいたんですか!?』
「ごめんなさい、ちょぅと気分転換したくて……。」
『もう消灯はとっくに過ぎてますから、気分転換はまた明日にしてくださいね。』
意外にも優しい言葉に驚く。もっと怒られるかと思った。
「はい……。」
いつも消灯後に脱走する小児患者を探してるのに、今日はその逆の立場。
あの子達の気持ちがよく分かった。
看護師に連れられて部屋に戻り、ベッドに横たわると、何かを考える前に眠りについた。



