未知の世界5


「あぁ〜!気持ちいいー!」







屋上には誰もいない。







少し生暖かい風が病院内の空調とはまた違って、心の緊張が緩まる。








やっぱり外がいいなぁ。








そういえば、ここで花火大会見たなぁ。







今では口に出せない翔くんとの思い出。








当時の私にはいまいち理解できなかったけど、今思い出すと翔くんの人を好きになるという気持ちはよくわかる…。
今はそんな気持ちをすることがないんだけど……、ね。









今は今で、幸治さんがそばに居てくれてるけど、最近は夫婦というより患者と医者って感じがどうもしてならない。








幸治さん、私のことをどう思ってるのかな。







悩みは他にもある。








小児外科の件、本当なのかな。








体がもつか心配。プロジェクトを受けるだけだと思っていたのに。








…………










なんて考えていると、ハッとして我に返る。







結構時間が過ぎていた……。







早く部屋に戻らないと。







と、屋上の扉を開ける。








「『きゃっ!!!』」








目の前に看護師が懐中電灯を持って立っていた。






思わずお互い驚いて悲鳴を上げた。







『佐藤さん、こんなところにいたんですか!?』







「ごめんなさい、ちょぅと気分転換したくて……。」







『もう消灯はとっくに過ぎてますから、気分転換はまた明日にしてくださいね。』






意外にも優しい言葉に驚く。もっと怒られるかと思った。







「はい……。」








いつも消灯後に脱走する小児患者を探してるのに、今日はその逆の立場。







あの子達の気持ちがよく分かった。








看護師に連れられて部屋に戻り、ベッドに横たわると、何かを考える前に眠りについた。