『ちょっと聴診させて。』
と聞きながら既に聴診器を耳に当てている石川先生。
パジャマの胸ボタンを開け始めている途中で、聴診器がするりと入る。
あ……、さっきの咳、バレたかな。
努めて胸の高鳴りを落ち着かせる。
聴診をしながら、石川先生がチラッとこちらを見たような気がした。
その動きに慌てた素振りを見せないようにする。
長い聴診を終えて耳にしていた聴診器を首にかける石川先生。
『何か言うことは?』
「ありがとうございました。」
『いや、そうじゃなくて。ちゃんと自分の体のことは素直に言うっ!』
うっ……、やっぱりバレてたか。
「ぇっと……。
トイレで咳が出た…くらいです。」
『発作!?』
「そこまでではないです。むせたような咳が出ただけです。」
『分かった…。そういうことは聞かれなくてもちゃんと言う!』
段々と石川先生が起こり始めていることが分かった。
それから少し続く説教。石川先生が落ち着こうとしながらも、今にもヒートアップしそうな口調。
すると、
ズキっ!!!
あ……
胸が一瞬だけど、キュッと締め付けられる。
全身に寒気が走るけど、胸が苦しくなるほどではない。
一瞬なるけどもう大丈夫。
石川先生を見てもバレてなさそう。
『……ってちゃんと聞いてるか!?』
「……えっ!?あ、はい。」
曖昧な返事となってしまった。
その時、というより部屋に戻ってきてから進藤先生の顔をジッとは見ることができない。
あまり見ないように、目が合わないようにするのに必死。
はぁ、この空気が一番疲れる……。
二人が出て行くとすぐにまた目を閉じた。



