熱が下がったせいか、朝食は半分以上も食べることができた。
ふと冷蔵庫の中を見ると、水がないことに気づいた。
いつも幸治さんが入れてくれてたけど、昨日は服だけ持ってきて帰っちゃったから何も入ってない。
検査の始まる前だけど、急いで行けば……とさっそく部屋を出た。
水は同じ階の待合室の自販機で売っている。
個室からは一番離れてるけど、すぐに帰ってくれば問題ない。
それに食後にすぐ動く人はあまりいないので、私を知ってる患者さんに会うことも極めて少ない……と思う。
と、色々考えながら廊下を素早く歩く。
廊下にも、待合室にも誰もいなかった。
自販機で水を数本買い、部屋に戻る。
部屋のドアを開けると、
そこには……。
『お帰りかなちゃん。』
げっ!
驚きのあまりひどい驚き方をしてしまった。声には出てないだろうけど。
「す、すいません。お水を買いに。」
怖い顔の石川先生が、さらに鬼の形相で私を睨んでいる。
『あれ?検査まだ始まってないの?』
「きゃっ!」
部屋の扉の音とほぼ同時に聞こえた声に気づき振り返ると、今度は進藤先生。そして、その隣にいるのはお父さん!
『えぇ、患者さんがなかなか帰って来てくれなくて。』
と石川先生が怒りを抑えながら説明する。
いやいや、私結構急いだけど……。いつの間に。
『さあ、どうぞ。』
石川先生にベッドを叩かれ、寝るように促される。
『今日は基本的にはベッドの上で過ごして。トイレは行っても大丈夫だから。』
と始めてではないけど、念を押されるように説明を受ける。
「はい……。」
ベッドに横になるものの、この状況で落ち着くことができず、機械が胸に付けられると、
『はぁ、またか……。
一旦落ち着け……。』
そう言われても、石川先生のピリピリした顔、未だに冷たく当たる進藤先生、そして仕事となると真剣な眼差しのお父さん……。
貴方がたのその私に向けられた視線がものすごく怖いです……。
『まずは最初だけでも測定したいから、一旦落ち着かないと始まらん。
目を閉じてろ。』
そう言われて、ギュッと閉じる。
ピーーーー
う……、測定不能の音。
目を瞑って静かにしようと思うほど、まともに息が吸えず、それに機械が反応する。
『息、しろ。
しょうがない。
一度このまま部屋を離れるからな。少ししたら来るから、その時次第だな。』
そう言う石川先生は、お父さんと進藤先生と目を合わせると、部屋を出て行った。
落ち着けって言われてもな。
しかし一人でいると、次第に落ち着き、さらに眠くなってきた。
そして、ウトウトしてきたところに部屋に石川先生が入って来るのが見えたけど、そのまま眠ってしまった。



