ガラッ
石川先生の診察の中、入って来たのは進藤先生。
あ…また幸治さんじゃない…。
またガッカリしてしまう…。
「悪いね。佐藤くんじゃなくて。」
別にそんな顔をしていた訳ではないのに、進藤先生まで。
「佐藤くんはね、今さっきアメリカから帰国したご両親を車で迎えに、空港まで行ってるよ。」
え?お父さんたち?帰ってくるの?
「君の手術に間に合わせたかったようだけど、向こうでの仕事が終わらなかったみたいで。」
そうなんだ…。また迷惑かけちゃったな。
「佐藤くん、ずっと君のそばにいたんだけどね。まぁ、そのうち帰ってくるよ。」
幸治さん…手術してくれた後も、きっと休まずそばにいてくれたんだろうな…。
無理してないといいんだけど。
「今は人の心配より、自分の体が回復することに専念してね。」
はい…。
って、私の考えてること…
「全てお見通し(笑)
かなちゃんのことはよく知ってるから。」
…さ、さすが。
それにしても痛いなぁ。
『痛み止め、今入れたから。
もうすぐ効いてくるからな。』
石川先生が点滴に鎮静剤を投与しているのを見て、軽く頭を下げてみる。
ぃだっ!!!
あまりの痛さに顔がひきつる。
「まだまだ動いちゃダメだよ。
今回は簡単に脱走できないからね〜。」
う…いろんな意味で痛い…。
『俺が診てて脱走なんかしたら、ただじゃおかないぞ。』
ヒィッ!
怖い顔…
何も発してないけど、会話?をしていると、鎮静剤でなのか眠気がやってくる。
目の前の進藤先生と石川先生を見ていることができない…。
あぁ、幸治さんに会う前なのに…眠たい…。



