ガチャッ
リビングのドアを開けると、幸治さんが仕事をしていた。
黙ってキッチンへ向かい、コップに水を入れる。
口を軽くゆすいでから水を飲む。
さらに冷蔵庫にあるペッドボトルの経口補水液を何本か手にして、リビング脇に置いたままのカバンを取ってリビングを後にしようとする。
『おい、待て。』
まさか声を掛けられるとは思わず、驚いて動きを止める。
『まだ意地張ってんのか。』
意地なんて張ってない。ただ、怠すぎて返事もできない。
立っているのがやっと。
すると仕事をしていた幸治さんが私に近付いてくる。
『こんな湯気出そうなくらい真っ赤でフラフラで、一人でいたら死ぬぞ。』
さっき突き放された腕を今度は引っ張られる。
その勢いに体がついていけず、
ドタンッ
思いっきり尻餅をついてこけてしまった。
痛い……。
『わ、悪い。』
幸治さんは焦って私を起こそうとする。
私は足が宙に浮いたような感じになり、足に力が全く入らない。
『大丈夫か?』
覗き込む幸治さん。
「……大丈夫だから、部屋に行きます。」
『大丈夫ってこういう時は使わないの!』
そういうと今度は体がフワッと浮いた。
あっ……
幸治さんに抱き上げられ、ソファに連れて行かれる。
リビングのソファは大きいから、すっぽり私の体が収まる。
『そのままでいいから。』
怠くて目がどんどん閉じていく。
そんな中でテキパキと幸治さんは私の胸を聴診して、血圧、体温を測って。
氷枕と保冷剤で体の節々を冷やして、点滴の準備まで。
嫌いな点滴だけど、何も抵抗できない。
全ての処置が落ち着いたと思ったら吸入が始まる。
だけど、それ以上は起きてられず、眠りについた。



