未知の世界5


目を覚ますと見慣れた天井。






あれ?






どうして?






病院のベッドで点滴を付けて寝ている。






診察室での恥ずかしい想いが、再び蘇ってきた。






そうだった…たくさんの先生の前で聴診されるところだった。







シャっ!





カーテンが開く。






「目が覚めたか?」





幸治さんがそばにくる。





「…あの、私って?」






「あぁ、診察中に貧血起こして倒れたんだ。





看護師がいたから支えられてたけど。






寝ている間にできる検診は済ましてあるから。」






「………。」






私の気持ちも知らないで…






「なんで聴診を受けなかったんだ?」






どうせ話しても分からないでしょ。





「しかも今朝、玄関で貧血起こしたこと。なんで黙ってたんだ?」






え?そんなこと?






「進藤先生に他に何か変わったことはなかったか聞かれただろ?





どうして毎回毎回こうなんだ?





皆んなお前のことを思って一つの診察室に集まってたんだぞ?」





「………。」








どうして分からないの。





あんなの拷問だよ…。





また涙が出てくる。







「かな?泣いてもダメだぞ。これから続きの検診。」






私は力一杯顔を左右に振った。





「もういやっ!帰る!」





と言い放った後に、ベッドを降りたかった。けど、体が動かない。
どのくらい寝ていたのか分からないけど、感情的になったのか疲れ切っていた。





その様子を見ていたからなのか、幸治さんはカーテンを開けて出て行った。