目を覚ますと見慣れた天井。
あれ?
どうして?
病院のベッドで点滴を付けて寝ている。
診察室での恥ずかしい想いが、再び蘇ってきた。
そうだった…たくさんの先生の前で聴診されるところだった。
シャっ!
カーテンが開く。
「目が覚めたか?」
幸治さんがそばにくる。
「…あの、私って?」
「あぁ、診察中に貧血起こして倒れたんだ。
看護師がいたから支えられてたけど。
寝ている間にできる検診は済ましてあるから。」
「………。」
私の気持ちも知らないで…
「なんで聴診を受けなかったんだ?」
どうせ話しても分からないでしょ。
「しかも今朝、玄関で貧血起こしたこと。なんで黙ってたんだ?」
え?そんなこと?
「進藤先生に他に何か変わったことはなかったか聞かれただろ?
どうして毎回毎回こうなんだ?
皆んなお前のことを思って一つの診察室に集まってたんだぞ?」
「………。」
どうして分からないの。
あんなの拷問だよ…。
また涙が出てくる。
「かな?泣いてもダメだぞ。これから続きの検診。」
私は力一杯顔を左右に振った。
「もういやっ!帰る!」
と言い放った後に、ベッドを降りたかった。けど、体が動かない。
どのくらい寝ていたのか分からないけど、感情的になったのか疲れ切っていた。
その様子を見ていたからなのか、幸治さんはカーテンを開けて出て行った。



