ドンドンドン!
ん?
どのくらい経ったのか、背中からけたたましく叩かれる扉の音で目が覚めた。
「かな?かな?」
『かなちゃん!?大丈夫かい?開けてくれ。』
あ、幸治さんにお父さんの声。
私は半ばボーとした頭で目をこする。
ゆっくり扉から離れると、勢いよく扉が開いた。
「はぁ、そこにいたのか…。」
扉のそばにいた私を見た幸治さんがつぶやく。
『さっき部屋から出て行って、心配で見にきたんだけど、扉が開かなくて驚いたよ。
あぁ、何もなくて良かった。』
今度はお父さんが安堵している。
「寝てたのか?」
そう幸治さんに聞かれ、うなづいて答える。
部屋を飛び出しておきながら、すぐに寝てしまった。
「退院してすぐのことだから、疲れてるんだろ。もう今日は寝なさい。」
そう言われ、ボーとした頭で考える。
寝なさいと言われた。
ベッドで寝よう。
…。
すぐに体を起こさない…。
それに気づいたのか、
『寝起きでボーとしてるな。』
ひょいっと私の体を持ち上げたお父さん。
『軽くなったなぁ。』
そう言われ、顔面が赤くなる。
ベッドに横にされるとすぐに、
『かなちゃん…。ちょっとだけ、診察しようか。』
私の顔色を伺いながら、でも返答を待たずにポケットから聴診器を取り出すお父さん。
こんなところまで持ってきてるの!?
軽くうなづく頃には服が上がられている。
お父さんの長い診察…。
その間幸治さんは部屋の隅で、その様子を腕を組みながら見ている。
静かな時間が流れる。
居心地がよくて、再び眠りについた。



