未知の世界5


ドンドンドン!






ん?






どのくらい経ったのか、背中からけたたましく叩かれる扉の音で目が覚めた。






「かな?かな?」






『かなちゃん!?大丈夫かい?開けてくれ。』






あ、幸治さんにお父さんの声。






私は半ばボーとした頭で目をこする。







ゆっくり扉から離れると、勢いよく扉が開いた。







「はぁ、そこにいたのか…。」







扉のそばにいた私を見た幸治さんがつぶやく。






『さっき部屋から出て行って、心配で見にきたんだけど、扉が開かなくて驚いたよ。






あぁ、何もなくて良かった。』







今度はお父さんが安堵している。







「寝てたのか?」






そう幸治さんに聞かれ、うなづいて答える。







部屋を飛び出しておきながら、すぐに寝てしまった。







「退院してすぐのことだから、疲れてるんだろ。もう今日は寝なさい。」






そう言われ、ボーとした頭で考える。






寝なさいと言われた。





ベッドで寝よう。





…。








すぐに体を起こさない…。






それに気づいたのか、






『寝起きでボーとしてるな。』






ひょいっと私の体を持ち上げたお父さん。





『軽くなったなぁ。』






そう言われ、顔面が赤くなる。






ベッドに横にされるとすぐに、






『かなちゃん…。ちょっとだけ、診察しようか。』






私の顔色を伺いながら、でも返答を待たずにポケットから聴診器を取り出すお父さん。







こんなところまで持ってきてるの!?







軽くうなづく頃には服が上がられている。








お父さんの長い診察…。







その間幸治さんは部屋の隅で、その様子を腕を組みながら見ている。







静かな時間が流れる。







居心地がよくて、再び眠りについた。