一階では、食堂で石川先生がスタッフの片山さんと話をしていたようだった。私たちを見ると、話をやめて廊下へ出てきた。
「このまま車で帰れそうか?」
『はい、一通りの診察も終えました。状態も安定してますので、大丈夫です。』
そう話す私の後ろで俯いたままのりさちゃん。
「りさ、もう抜け出してみなさんのご迷惑になるようなことをしないようにな。」
片山さんに釘を刺されたりさちゃんは、黙って軽く頷く。
すると廊下沿いの事務所から、誰かが出てくる気配を感じた。
ガチャっとドアが開き、大きな体の男性がゆっくりと……。