施設の部屋でりさちゃんを横にして聴診する。







「吸ってー、吐いてー。」









うん、雑音がかなりしている。








喉の調子などを見て、熱を測る。









胸の音だけが気になるので、一先ず持ってきた薬を入れるため、点滴を始める。








『それは嫌だ…。』







昨日は素直に応じてた。いや、意識がはっきりにない時にした点滴だったからか、今日は完全に拒否されている。








「点滴にしておけば、何かあっても他の薬を入れられるから、今は点滴させて。」







手を引っ込めたまま、







『ヤダったら、ヤダ…。』









少し前は病院を抜け出したことを素直に謝っていたりさちゃんだけど、点滴一つで、頑なに嫌がり、手すら出してくれない。







仕方ない…。今は大人しく病院に返すこと。








「点滴が嫌だったら、注射で薬を入れるけど。」









と、りさちゃんの反応をみると、注射はいいようで、頷く。










今度は大人しく手を出すので、腕を消毒して、素早く注射を打つ。








念のため持ってきた簡易型の吸入器を10分ほど行う。








『これ、嫌い……。』







小さく呟くものの、抵抗することはなかった。








うん、分かるよ、吸入ってなんか異様な匂いがするし、むせちゃうもんね。







心の中でりさちゃんに同情する。








処置が一先ず終わると、病院に帰ることを説得して一階に降りた。