トントン。
他の子の回診を終えてから、入院となったりさちゃんの元へ。
「目がさめたかな?
りさちゃんの担当の佐藤かなです。
よろしくね!」
私の話を聞いているのかいないのか、
『あの…もう少ししたら帰れますか?』
帰る!?
「今日は帰れないよ。りさちゃんの体は少し休憩した方がいいからね。
りさちゃんの体についてお話してもいいかな?」
本当に私の話を聞いてるのか、天井を見つめたまま。
話さないとなんともならないので、りさちゃんに説明する。
説明の終わり頃に、さっき話しをした施設のスタッフ片山さんがやってきた。
『あ、まさ兄。
これから帰るから、送ってって。』
スタッフ片山さんのことをまさ兄と言って慕っていることがよくわかった。
いやいや、そこじゃない。
「だから今日は帰れないよ。」
と私が言うけども、全くこちらを見ない。
「りさ、しばらく体が良くなるまで入院になったから。」
『嫌だよ、帰るから…。』
そういうと俯いたままのりさちゃん。
「ところで、りさ?
いつから体調悪かったの?咳なんて出てるの見たことなかったけど…。」
『……別に、前からあった訳じゃない。』
「いつから?」
片山さんがりさちゃんに問いただす。
私が話に入っても答えてはくれないだろうから、黙って聞こう。
『さっき……。』
「りさ?ちゃんと言わなきゃ分からないだろ?」
『もう、帰るから!』
突然布団を剥いで、ベッドから降りようとするりさちゃん。
繋がれた点滴台がりさちゃんに倒れかかった。
危ないっ!
とりさちゃんの頭をかばったその瞬間。
ドサッ
肩から背中にかけて、私に点滴台が落ちてきた。
いたたた……。
「大丈夫ですかっ!?」
慌てて片山さんが点滴台を起こしてくる。
「りさちゃん?大丈夫?」
相当驚いたのか、りさちゃんは驚いた顔のまま。
「本当に、すいませんっ!」
片山さんが頭を下げる。
「大丈夫ですよっ。りさちゃんも無事で何より。
点滴は外れてないかな?」
と左腕を手に取って確認する。
大丈夫そうだね。
手を取っても引っ込めないでいるりさちゃん。結構驚いたんだね。
「りさちゃん、早く退院できるように一緒に頑張ろうね。」
と声をかけてベットに寝るように促すと、素直に寝てくれた。
はぁ、良かった。
とりあえずは入院に納得してくれたかな…。



