未知の世界5


そして退院の日を迎えた。





朝からお父さんにお母さん、そして休みをとってくれた幸治さんが病院に来てくれている。





退院するのにこんなに人が来てくれたのは初めて。





「かなちゃん、今日から家に戻れるね。





良かったなぁ。」






嬉しそうなお父さんの顔を見て、私も嬉しくなる。





お世話になりました、と病棟の看護師さんに挨拶を済ませ、玄関まで来てくれた石川先生にも頭を下げる。





『ちゃんと自宅で安静にしてるんだぞ。』





ぅぅ、






早く仕事に戻りたい…。






「お世話になりました…。」





ついふて腐れた顔で挨拶すると、幸治さんに頭を小突かれた。





痛い…。






『退院してすぐに復帰できると思ってたんだろ?』






そう幸治さんに聞かれて、小さく頷く。






『大変なのはこれからだぞ。』





と言われ、気持ちがさらに沈んで行く。






挨拶を終えて、幸治さんの車でマンションに向かった。