そしてようやくやってきた退院の日。






ようやくというほど今回は入院してないけど。






どうやら以前に比べ体力が着々とついてきているようだ、と退院前の進藤先生の説明があった。







くれぐれも無茶をして病院に戻って来るようなことがないようにと、念を押されて今日、この退院を迎えることができた。





今日は幸治さんが仕事。なのでナースステーションでお礼を言って、大きな荷物を手にし、一人寂しく帰ろうと歩き出したところ。






荷物がフワッと浮き、振り返ると進藤先生が私服で立っていた。






「え?」






状況が飲み込めない訳ではないが、飲み込みたくないというか…。






私服…進藤先生…荷物持つ








進藤先生はお休みで、私の荷物を持ってくれている、ということは、家に送ってくれるのだろう…。






『そゆこと。』







いや、そゆことじゃなくて。







『孝治くんに聞いたら、一人で帰らせるって言うから。僕、休みだし、また数日間お世話になるから、せっかくなら一緒にマンションに行こうと思ってね。』








へ?







またもハテナが私の頭上に。







『またうちのマンション、リフォームがあってね。何度もごめんね。







ということで、数日間お世話になるからね!』







満面の笑みの進藤先生に、







「は…はい。」







小さく答えることしかできなかった。






嫌っていう訳ではないんだけど、なんかこのパターン…前にもあったよね。







頭を整理させる前に、進藤先生は、私の前をスタスタ歩き車に向かった。