未知の世界5


4日後、順調に回復できたことから、無菌室から出てきた。







いつもの病棟の静けさの中に、廊下を歩く音や人の声?んがかすかに聞こえる。








無菌室でも一人だったけど、この病院の医師ということで、個室。
それは普段顔を合わせている患者さんやその家族に会わないようにということが理由なんだろうけど、正直一人の病室は寂しい。






「どう、調子は?」







進藤先生のいる内科にいる私は朝から何度来るのだろうという進藤先生に、何度目かの『大丈夫です。』という言葉を返した。







「そりゃ良かった。」








何度来ても聴診は欠かせないらしい。







『どうですか?』








終わってから聞いてみた。









「珍しいね、かなちゃんからそんなこと聞くの。」







驚いた顔の進藤先生。








『いえ…、今朝から何度も聴診されてるから、何か異常があるのかと…。』







「ううん、そういう訳じゃないよ。






ただ、心臓に異変があるかどうか、聴診で分かることもあるから、こまめにして、異変があればすぐに対応できると思ってね。」








今度は私が驚いた。








こんなにも患者の体のことを考えてるんだ…。







仕事をしている時にはちょくちょく小児科の医局に来ては私の様子を伺っていて。仕事してても患者扱いする先生に、少しうんざりしてるところもあったけど、今改めて、先生の患者に対する姿勢に驚かされた。





「どうしたの?」







つい進藤先生の顔を見つめてしまった。








『あ、いえ…別に。』








と、目を伏せる。








「あれ〜?僕のこと好きになっちゃったぁ?」







とふざけて笑い出す。








『ち、違います!』







真っ赤になった顔を下に向けた。