未知の世界5


リハビリ開始から一週間が経った。




「どうだ?」




耳に聴診器をはめて、私の胸に聴診器を当てようとすると石川先生に訊ねられる。




ん?こういう時、喋っていいのかな…。




一瞬黙ってしまうと、





「リハビリは順調か?」




喋っていいみたい。





『はい。』






「無理はするなよ。変わったことがあったら言うんだぞ。」




『はい…。』





変わったこと、といえば息切れが半端ない。





なかなか慣れない。





これっていつまであるんだろうか。





慣れてくるものなのかな…。




なんて考えていると、





「ん?なんだ?」





聴診が終わると改めて私と向き合うように構える石川先生。





えっと…なかなか言いづらい。





これを言うことで私はどうなるんだろ…。





リハビリが遅くなって、仕事復帰も遠のくのかな…。






『…いえ。』





すっきりしない顔の石川先生だけど、胸ポケットのPHSが鳴ると、また来るといい部屋を後にした。