未知の世界5


パチっパチっ






と手慣れた手つきで錠剤を取り出す。







水をたくさん口に含んで、一気に口に放り投げる。









ゴク……ん










『はぁ。』









一口で飲み込むと、それだけで一杯になったお腹。つい溜息がこぼれた。







「そんだけあればお腹いっぱいなんだね」







笑いながら目の前の定食に手を伸ばす早川先生。








『そうなんですよ。








移植後の人には一錠で飲めるようなみんなくっついた薬が出ないんでしょつかね。』








「ハハハ!かなちゃんはたまに面白いことを言うよね!







全ての薬が一つになったら、ものすごい大きな薬になって、逆に飲み込めないと思うよ。」







あ…確かに。








『はは…。そうですね。』








「あんまりしんどいなら、ゼリーと食べてみたら?」






『ゼリーですか?』







「子供やお年寄りには、薬を飲み込みにくいから、薬用にゼリーが売られているんだよ。







かなちゃんの飲んでる薬なら、普通のゼリーに混ぜても飲めると思うよ。」








小児用のゼリーがあることは知っていた。







入院している子供達も、よく母親がそういったゼリーと混ぜて与えている。







今までなんで気づかなかったのか…。








『あ!でも…。







そのゼリーでお腹いっぱいになっちゃいそうです。』







「そうだね、確かに。






まぁ、でもゼリーでお腹を膨らませるのもいいんじゃないかな?







薬だけ飲んでご飯を食べないよりは。」








『そうですね。』







今日、ゼリーを買えたら、夜からやってみよう。