医局へ戻り、はるちゃんの自宅に連絡する。







………









ん?出ない。まだ9時前だけど。









はるちゃんのお母さんって、何してるんだっけ…。














書類をめくると、会社に勤めてるみたい。







非常時の連絡先になっている携帯にかける。







プルルルル…








「あ、はい、川上ですけど。」







『こんにちは、私はるちゃんの担当医の佐藤かなですが。』






そう言うと登録のない電話から不審に思っていただろう母親の声が明るくなる。









「あ、お世話になっています。」







丁寧な言葉が返ってくる。







『かなちゃんの入院のことですが。』








…………









母親にかなちゃんの胸の雑音のことと、熱が下がらないことを話すと、母親は不安になった様子ではあったが、通勤中なのか。それ以上電話をしている時間はないようで、最後に「よろしくお願いします」というと、母親から電話を切った。












はるちゃんのお母さん、仕事していて忙しい方なんだ








そんなことを考えながら、医局から検査室に向かった。