「はじめまして、担当します佐藤です。」
『娘がお世話になりました。』
そういって、二人の夫婦は頭を深く下げた。
ミーティングルームで、患者であるはるちゃんの症状を話す。
『なんで…川なんかに落ちたんでしょうか?』
「本人に聞かないと分からないこともありますが、貧血の症状がかなり深刻な状態ですので、フラついて落ちた可能性もあります。」
『それか…もしかして…。』
母親が涙目でうつむく。
「何か思い当たることでも?」
『いえ、学校や塾で何か思い悩んでることはないと思います。
貧血だけで突然、川に落ちるんでしょうか?』
「そうですね。こればかりは何とも言えません。どのような状態で川のそばにいたのか。」
『さっき、警察の方が現場を見せてくれました。
少し急な斜面にいたようで。
そこで立ち上がったと思ったら、前に歩き始めてすぐに倒れるように川に落ちたようです。』
「そうですか…。」
一番難しい年頃。
慎重に話を聞かないといけないようだ。



