医局に戻り、たった今処置した患者のカルテを作成。
「かなちゃん、かなちゃん。」
いろんな呼び方をされるが、よっぽど真面目な話でない限りは、医局長からの呼び名は「かなちゃん」
『はい。』
「今入院になった患者だけど。
川上はるちゃんね。
かなちゃんの担当になるからね。分からないことあったら、周りの先生に確認しながらやってね。」
『は、はい!』
初めて一人で受け持つ担当患者。
ほんとの最初から彼女を診ることができるなんて。
嬉しさで顔がほころぶ。
にしても…、貧血以外は特に症状がない。
プルルルル…
『はい、小児医局、佐藤です。』
「ナースステーションです。先ほどの川上はるさんの保護者の方がみえました。
」
『分かりました。今行きます。』
患者の親が着いた。
どんな親なのか、彼女と先に喋りたかったけど、しょうがない。



