―――ガチャ


「兄貴…って、お前、うわ…き…」


「じゃねーよ。川に沈んでたから助けてやったの。あ、こいつは俺の弟で、早川 誠(まこと)よろしくしてあげてね?」


「わ、分かりました。あ、誠くん、私は、水野 紗奈です。高2です。」


「あ、なんだ、俺と一緒じゃん」


と言ったあとニッと爽やかな笑顔を見せた誠くん。


イ、イケメン…っ、眩しい…。


茶髪に、モデルみたいな体格してるし、顔が整ってるから、きっとモテモテなんだろうなあ。


この人も彼女いるのかな?


リア充羨ましいな〜…。


「あ、誠は彼女いないから安心してね」


な、なんでそんなことを!?


「そ、そんなんじゃっ!」


「おい…くそ兄貴…。」


陽太くんの…バカッ…。


そうゆうの結構傷つくんですけど…。


もう、家に帰ろうかな。


「あ、そうだ。紗奈ちゃん、家はどこにあるの?送ってくよ。」


「ありがとうございます。でも、一人で帰れますから、大丈夫です。」


ペコッとお辞儀をし、帰ろうとした瞬間、誰かに腕を掴まれた。


「…っ!な、なに?」


「もう夜だ、こんな夜道を一人で歩くなんて馬鹿だろ。黙って送られろ。」


誠くん……。


「そ、そんなの迷惑だよ。走って帰れば大丈夫!」


゛はぁ… ゛


「お前、ここがどこか分かんのか?」


そういえば…ここどこ?


知らない人に拾ってもらったんだった…。


忘れてた……。


「わ、分かりません…。」


ぐぬぬぬぬ…く、悔しい。


「あ、なんなら、夜ご飯も食べていけば?多く作っちゃったからさ。」


「あ、ありがとうございます……」


もうっ、私のバカッ!


なにお世話になってんのよ……。


逃げ出したかったのにっ。



でも、なんだろう、この気持ち。


無理やりだったのに嫌じゃなかった。


…胸がドキドキした。


もう、分かんないよ………。