「……――てる?」


だ、れ?


「…だ…れ……っ…!いっ……」


起き上がろうとしたら頭が痛く、だるくて、熱が出ていた。


「あ、起きた?君さ、ダンボールの中にいてね、川に沈んでたよ。」


え、?


か、川に、沈んでたあ?


「君、親に見捨てられた。とか?なにか理由があって、こうなったんじゃないの?」


「い、いえっ…そんなことは…」


ふ〜ん、と言ってからどこかに行ってしまった知らない人。


数分たってから、また戻ってきた。


―――カチャン


紅茶?…わざわざ…。


でも、一つしかないから自分の分だったりして…。


「飲まないの?君のために入れてきたんだけど…。」


え?私のため?


「あっ…ありがとうございます…!」


゛ふっ ゛


え?笑った?


前を見たら案の定笑っていた。


「…っ、」


改めて見たけど、イケメンだ。


黒髪に2重でキリッとした目。


そして、眼鏡をかけていて、その奥からは優しい瞳が見えて…って何を言っているんだ私!


ダメじゃないっ!


名前も知らない赤の他人にそんな感情を持っちゃ…。


「なあ、自己紹介してくんない?」


そ、そうだよね。一応しとこう。


「私の名前は、水野 紗奈(さな)です。」


「紗奈?分かった…俺は、早川 陽太(ようた)だ、よろしく。」


早川陽太…。


太陽みたいに明るくはないけど、心が太陽みたいに暖かい。


こんな私のことを助けてくれるなんて…。


「俺は、一応大学生。19歳、俺に恋心持たないでね?彼女いるから」


「そんな感情持ってませんっ!失礼なっ!」


なんなの、この人っ!いい人かと思ったら。


でも、少し期待してしまった自分がいる。



馬鹿みたい…。