泰斗が傘を開きながら歩いてくる。



「えへへ、まぁ...」



「バカだな...、ほら」



「え?」



私は差し出された傘と泰斗の顔を見比べる。



「濡れるだろ」



泰斗がぶっきらぼうに私の手を引き、傘の中に入れる。



「へっ!?」



「送ってくよ」



泰斗は私の手を握ったまま歩き出す。



私は慌てて付いていく。



「あ、ありがと」



「ん」



私は顔が熱くなるのを感じる。



(手、繋ぐなんていつぶりだろう)



最後に手を繋いだのは幼稚園の時だ。



(この年になって繋ぐなんてなー...)



私は繋がれた手を見る。



けど。



少し胸に違和感があるのはなんで?



好きな人と手を繋げて嬉しいはずなのに。



こうして手をまた繋げることを夢見てたのに。



どうして?



私、もう自分の気持ちが分からないよー...。