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悲劇の始まりはほんの数日前だ。




7月の始まり、蒸し暑い教室。



クーラーのない高校なんて今どきあるのか?と、みんなが文句を言う中、



俺は1人、PSPのゲームでらむちゃんの限定水着ガチャで激レアをあて、


涼しい気分だった。




こんな奴だからもちろん友達はいない。



隠れオタクはいるだろうけど、そんな奴とは分かり合えない。



俺は正々堂々とオタクをするのだ!!!




クラスには俺の顔をまともに見たことがある人もいないだろう。



そんな俺の幸せな青春。


のはずが…




「なーーぎーーさーーくーーん」


ある日突然そいつはやってきた。




何をそんなに精一杯俺の耳元で叫ぶ必要があるのだ。



俺はぐいっと顔を覗いてくる幼稚園児を睨んだ。


「うぁお!やっぱり渚くん、顔かっこいい!」