「そうですね。それじゃあまず元気にならなくては!」

「ああ、そうだな。」

 叶わぬ約束と知りながら二人はうなづいた。

「もし、俺が死んだら、アイツらはすぐ動くと思う。だから、葬式後、人の出入りが収まったら、あの子たちを連れてすぐにあの家を出るんだ。」

「はい。」

「そして、これはお守りだ。君が付けていたら不自然だから勇の首から下げて、肌身離さず持っている事。」

 中条はそう言うと、自分の首から下げていた青いペンダントを外して、弥生に手渡した。

「これは?」

「こうすると蓋が外れる。これはUSBだ。この中に中条家の各人の今までしてきた悪業をデータ化してある。これを新聞社か出版社いやテレビ局でもいい。とにかくマスコミに手渡す事。そしたら、中条家は破滅するだろう。」

「でもいいんですか?アナタの息子さんの将来も断つ事になるのですよ。」

「それも勿論、考えたさ。しかし、このまま継がせる事があの子の為になるとも思えない。」