そして、望が無事、男児を出産するのは、それから3年もしてからだった。

 勇が8歳、火菜が6歳になっていた。

 待望の後継ぎに、大輔と美佐子は大喜びし、中条はホッとした。

 しかし、中条は達成感より虚しさが募った。

 男児には、当然のように大輔が、命名した。

 『弘輔(こうすけ)』

と名付けられ、妊婦を装っていた美佐子の第一子として届けられた。

 すると、次々と屋敷にはお祝いの花や品物の数々が届けられた。

 そのほとんどが大輔宛てで、政界での力の大きさが伺われた。

 とりあえず、娘婿としてあてがわれた会社は、中条は社長の地位にあってないような状態だったので、取り締まり役たちも、大輔の機嫌取りをする。

 (やってられるか!!)
中条は次第に酒の量が増えていった。