予定日よりもかなり早くに陣痛が始まったのだ。

 予想外の事の上に、極秘出産なので中条家は騒然となった。

 しかも、早産の割りに胎児はかなり大きめで、弥生はかなり細身だったので超難産になった。

 本来なら、病院に搬送して帝王切開すれば、楽な出産だったのかもしれない。

 しかし、そうする事は絶対に出来なかったので、弥生は丸一日中、苦しんだ。

 そして、その苦しみは胎児も一緒で、やっとの思いで弥生が産みおとした男児は一時、仮死状態になった。

 弥生も、男児も一命はとりとめたが、そのせいで男児は、普通の子より知能が遅れる事になった。

 それが勇である。

 そこで中条家の面々は、勇を後継ぎにすることをあきらめざるをえなかった。