弥生は買い物から帰ると、アパートの前に黒塗りの高級車が停まっていたので、急に不安になった。

 (まさかね。うちじゃないでしょ。)

 勇気を出してドアを開けると、室内はただならない空気が漂い、弥生は逃げ出そうとしたが、スーツ姿の男二人が部屋の奧から飛び出して来た。

 そして拘束されると弥生は、拉致同然に連れ出された。

 弥生は薄れゆく意識の中で

(いつかこんな日が来ると思っていた……)

 と考え、絶望のどん底へと落ちていった。