黒沢もテレビ局と言われればどう対処してよいか分からずに、どうにか断れないものかと思ったが、

「決してそちらの邪魔などはいたしません。今夜はご自宅の撮影をして、明日は式場の方を撮影させて下さい。」

 テレビマンはこれが自分たちの本分だと言わんばかりの押しがあった。

 そして、困惑している黒沢に近づくと

「こういうのは、地域住民の指示を得やすいですよ。票もグッと増えます。たかがローカルテレビと思われるでしょうが、侮れません!何といっても政治家は地盤固めが大事ですから…」

と耳打ちしてきた。

 これは、もう自分だけの判断ではいけないと、黒沢は

「お話しはよく分かりました。私はここの使用人ですので家長に聞いてみますが、このまま少しお待ちいただけますか?」

と、とりあえずテレビマンたちを止まらせた。