その頃、勇は部屋で一人、これからの事を彼なりに考えていた。

(僕はここを出たら、火菜に本気でプロポーズするんだ。

 モチロン、今までのプロポーズも本気だったけど、火菜は僕が兄だからと笑ってごまかしていた。

 火菜は僕が何も分からないって思ってるけど、人の気持ちはよく分かるんだよ。

 僕の脳はうまく働かない部分もあるらしいけど、みんなの言う事はだいたい分かるんだ。

 ただ、それを言葉にする事がうまく出来ないだけさ。

 だからここを出たら、火菜とお母さんと僕の三人で暮らすんだ。

 僕が二人を守るんだ!

 ずっと…

 ずっと……。