美佐子が出かけて、後を任された黒沢はまず、源を捕まえる事が一番の仕事になった。

 もう、失敗は許されない。

 潜伏先は分かっている。

 おそらく、勇か火菜の部屋だろう。

 まだ屋敷の外に出てない事だけは確かだ。

 だが、明るいうちにあの子らの部屋に強引に入っていって騒がれたら困る。

 中条の訃報を聞いて、この屋敷にもたくさんの生花や花輪、お悔やみ電報などがひっきりなしに届けられているので、今、騒ぎを起こせばマズイだろう。

 やはりここは源が出てくるのを待って、捕まえるしかないな…。

 黒沢は屋敷が闇に包まれるのを待つ事にした。