そう、確かに美佐子と黒沢の連携プレーはかなりうまく行っていた。

　まず、黒沢は望が家に帰り着いたのを見届けて、後を部下へと引き継いだ。

（望はまったく、尾行に気付いていないようだ。中条自身はそう大物ではないので、中条の死に気付くのは、早くても明日の朝、新聞を見た時ではないだろうか。）

　車を運転しながら、黒沢はそうタカをくくっていた。

　完全に望を甘く見ていたのだ。

　この点は、後で大きなペナルティーになる事も知らず、黒沢は美佐子の元へとアクセルを踏み込んだ。

　そして、帰り着くとまず、見張りを交替させるために朝と同じ７人を集めてそれぞれに持ち場を指示したが、六人しか戻らない。

「おかしいな。後一人は誰だ！？」

　その時、黒沢のケータイが鳴って、

「ガーデン前に来てみたら誰もいません。探しますか？」

「イヤだめだ。お前はそこを離れるな。すぐに行く。」

　黒沢は、猛ダッシュでガーデン前に行くと木陰に横になってる男をみつけた。

「オイ。お前どうしたんだ。」

　黒沢は男をチェックすると、手当てした後が見られるので、

「源だな！源が来たんだな。」

と気付いた。