「優香、今日自主練しよ」
「あ〜いいね!しよしよ」

私はソフトボール部に所属している。
中学の頃は、陸上部に所属していて、専門は走り高跳びをしていた。
中3になるに連れ、県でも上位にいる程の成績を残していた。
だから、他の高校から陸上の推薦を貰ったりもした。
けど、高校は夢に向かって集中したかったから、陸上は捨て希望校に入学した。
そして、部活に駅伝部はあるのに短距離がなくて何に入ろうか迷っていた。
そんな時、たまたまソフト部の体験に行った際、陸上の先輩だった人がいて意気投合。
そして、私はあっけなく足を活かせるという利点もあったのでソフト部に入ることを決めた。
でも、未経験者がひとりってのが不安な私は高校に入学して仲良くなった優華を誘うことにした。
優華は、中学の頃バスケをしていたらしいが先輩が怖いからという理由で一緒にソフト部に入部してくれた。
それから月日は経ち、2・3年生の大事な試合があるということで、先生もいないし一年生は練習がoffだった。
だから、少しでも上手くなりたくて優華を誘い自主練をしたんだ。
けど、実際できることは限られててキャッチボールくらいしかまだまだ未知な私達にはできなかったんだよね。
そんな時、野球部の2年生らしき人達が地区大会を終えて帰って来始めた。
うちの高校は色んな県からスポーツの推薦で寮生活を送って通ってる子達が多いらしい。
だから、野球部はほぼって言っていいくらい寮生が多いんだって。
寮はうちらソフトボール部が使うグラウンドの背景にあるから、よく毎日って言っていいほど野球部は見掛ける。
今日も、帰って来た野球部がグラウンドの寮側でキャッチボールをしたり自主練をしたりしていた。
「うち、先輩に知り合いいるからノック打ってもらお」
と優華が言い出し、LINEをして頼んだ。
すると、キャッチボールをしていた二人の野球部の先輩が歩み寄って来た。
ひとりは、私の姉が去年までマネージャーをしていたこともあって、SNSで軽く絡んだ事のある人だった。
その人は鷹って言うんだけど私達にノックの捕り方とかを教えてくれて、優華の知り合いの先輩はノックを打ってくれた。
少し時間が経った頃、「こんちわ!」と大きい声と共に挨拶が聞こえてきた。
片付けを終えた野球部の一年生がゾロゾロ帰って来始めたのだ。
しかも、グラウンドにみんな集まって来る集まって来る。
まさかこんな形で野球部の一年生と顔見知りになるとわ…
「こんちわ!」
自分にも挨拶をしっかりしてくるこの人達、さすが野球部だな〜って思った。
でもそう思った反面、野球部の一年生にはタイプいないな〜なんて考えたりもしてた笑"
けど、せっかくの絶好のチャンスなんだしゴロの捕り方とかフライの捕り方とか教えてもらお!って思って、ノックを次々と打ってもらった。
けど、案の定未経験な私達にゴロとかフライだとか捕れる訳もなく、トンネルとか余裕で何発もしちゃって…
必死に鷹も「グローブ下につけて」とか教えてくれるんだけど、ダメダメで笑
その後ろにトンネルしたボールをずっと捕りに行ってくれた子が、ハァハァハァハァ息切れしてる様子がおかしくて優華と目を合わせて笑っちゃった
「ごめんね!笑」
「いやっ…、全然大丈夫っすよ!」
とか言いながら、めちゃくちゃ息切れしてるし、疲れてるのに〜ごめんなさい〜!

もう一人の前にいる子は、ひとりで
「お、今のいいですね!」
「いいかんじ!うぇ〜い」とか
うるさいし笑
もうほんと楽しくて笑いが止まらなかった
そんなこんなしてると、また3人組の一年生が帰って来て立ち止まった。










ドキッ…





その時、胸の音が本当にみんなに聞こえるんじゃないかってくらい高鳴った。、
帽子を深く前に被ってて鼻から上は一切見えないけど、顔の輪郭がシュッてしてて鼻筋が通っててめちゃくちゃ美形。
それに加え、周りの子達に比べて一際目立つ背丈。
「ヤバイ、かっこいい…」
そう心の中で呟き、見惚れた。
すると、その子が帽子をふいに外したのだ
目は奥二重の切れ長で凄く整った顔をしてて、もうきっとこれこそが一目惚れだったと思う。
その人の顔に釘付けになった。
だって、ひとりだけタイプが違うんだもん。
私の理想のタイプ。ドストライクだった。
でも、その子は凄くダルそうにしてて
一緒に来た友達に
「もーはよ帰ろって、めんどくさい。お風呂もあるし腹減った」
ってめっちゃ駄々こねてた笑
多分、寮生なんだろうな〜
て思いながら、その時はすぐ帰っちゃった。
だからなーんもなかったんだよね