少しすると、姿を元に戻した夏希が上がってきた。

「ごめん、遅くなって」

「いいよー!何時だった?」

「ごめん!私のせいで!」

「えっ?急にどうしたの?」

「それが、6時半過ぎくらいになっちゃってて……」

「本当に!?」

「うん……。本当にごめん!」

「ううん。夏希のせいじゃないよ。私が時間を気にしてなかったのがのが悪いんだから」

というのも、私の門限は、6時。ここからどう急いでも、5分はかかるから、帰るのは、40分頃になるだろう。

前に、10分くらい帰るのが遅くなっただけでものすごく怒られた。

そう、私のお母さんは、普段は滅多に怒らないが、時間にだけはとても厳しい。

お母さん曰く、

『私からしたら、ちょうど時間ピッタリについたら、遅い方だと思うのよね。遅刻にしても、許せるのは2分まで。3分以上遅れたら腹が立つ』

だそう。

でも、許せると言っても1分でも遅れると不機嫌にはなる。

その事を、夏希は知っているからこそ、こんなに謝っているのだろう。

そういえば、こんな時にどうでもいいけど、ひなのもこの事を知っている。
一度、この事を話したその日に、遊びすぎて6時を過ぎてしまったとき、ひなのは、謝ってくれたっけ?

………あ、いけない!!これじゃ、ひなのが悪い子みたいになっちゃうじゃん!

とにかく、今は急ごう。

「本当にごめんね……」

まだ謝ってる。

「いつまで謝ってるの?笑

もういいって。本当に夏希のせいじゃないから。

とにかく、帰るね!」

「でも…………」
まだ謝りそうな感じだったので、被せるように、

「バイバイ」

と、いった。

「……バイバイ」

少し不服そうだったが、もう何も言わなかった。