甘い恋、運命の愛

「これで、いいのかな」

「うん、ありがとう」

連絡先を交換し、時雨くんはにこにこしながら帰っていった。


結局家まで送ってくれたし、本も二冊、私に渡して、帰ってしまった。

『倉本さんは、これ...読んで、いいなと思ったものを書き出して』

そう、言い残して駅のほうへと向かっていた。


「...しょうがない、ぱっぱとやっちゃえ」

意気込み、机へと向かう。

「...確か、二年生って劇だったよね」

どんな劇がいいか、ページをめくりながら、書き出しているときだった。


<新着メッセージがあります>

「時雨くん...?」

ロックを解除し、送られてきた文を読む。

「忘れ物...したから、明日持ってきて」

忘れ物、って何?


<何を忘れたの?>

と、メッセージを送り返す。


「...来ない」

あれから一向に返事が来ない。

もう、3時間は待ってる。

作業も大分進んだけど、なんとなく心配になった。

「やっぱりまだきてない...」

若干、がっかりしながらも私の名前を呼ぶ声がしたから、急いで自分お部屋を出た。



「え、なんで?」

「さっきぶり」

「うん、じゃなくて、何でいるの?」

今まで、返事を待っていt私がバカみたいに思えてくる。

「時雨さんがね、一年、海外に行くらしくて...それで、」

「もういい、わかった」

そういえば、お母さん、時雨さん、時雨さんって言ってた。

まさか、私の知ってる時雨さんだとは思わなかったのに。

「ってことで、かわいそうだから一年間仲良くしてね」

それだけ言うと、キッチンに消えたお母さん。


「...え、部屋は!?」

「使ってない空き部屋に、かれんが寝て、かれんの部屋にえっと、翔君が...」

「え、だめ...!あっ」

「わかりました、ありがとうございます」

拒否しようとしたのに、口は時雨くんの手によってふさがれた。

「あ、それから...明日から会社の旅行があるらしいの」

「はい!?」

「だから、二人になるけどよろしくね」

初めてお母さんを恨んだかもしれない。

「ってことで、よろしく」

「...うん」

よろしくしたくないけど、しょうがない。

はらをくくって、覚悟を決めた。