甘い恋、運命の愛

教室のドアを開けると、男子生徒が一名。

「あの、時雨くん!」

「なに?」


少しそっけなかった気もするけど取り合えず、お礼を言うためにかけよる。

「えっと、さっきはありが...」

「帰るよ」

「えっ...」

お礼を言おうとしたのに、どうしてか、さえぎられた。

「別に、お礼を言われるようなことはしてない」

それだけ言うと、廊下に出て行ってしまった。


「なんだか、別人みたい」

そうつぶやいた言葉はご本人に聞こえていたようで。

「だって、君しかいないもん」

「わ、っ」

突然隣から聞こえてきた声にびっくりした。

「驚きすぎでしょ、面白いね」

「面白いって、馬鹿にして、えっ...」

「いいから、帰るよ」

さっき帰ったと思ったのに、どうしているんだろう。

「時雨くん」

「なに?」

「...ありがとう」


なぜかわからないけど、無性に感謝したかった。

「なにそれ」

そうい言って笑顔になる時雨くんは今日一番、かっこいいと思った。

「...どういたしまして」



帰り道、二人並んで歩くのはもちろん初めてだけど、何気に手を掴まれてる。

「あの、もう離していいよ?」

そう聞くけど一向に離す気配はない。

「...時雨くん?」

それに、呼びかけても何も反応しない。

難しい顔をしながら、一緒に歩く。


「あのさ、この後って時間ある?」

もう一度呼びかけようとしたそのとき、少しだけ先に時雨くんが口を開いた。

「え、あるよ...?」

「じゃあ、ちょっと付き合って」


嬉しそうな笑顔と共に、私達は歩き出した。