それから30分後くらいに、真田先輩は私の家に来た。


「ごめんね、急に時間早めちゃって。」

「大丈夫です。準備、できてましたから。」

「浴衣、似合ってる。ゆらちゃんっぽくて可愛い。」


嬉しいはずなのに、うまく笑えなくて

悠のことなんか忘れて楽しみたいはずなのに、忘れられない。


「…昨日、電話したときさ。」

「は、はい。」

「なんかゆらちゃん元気なかったから。心配になって早く来ちゃった。」


とりあえず駅まで歩こっか、と

真田先輩は私の手を引いて歩き出した。