「…あんな顔するんだ。」


最後に私の名前を呼んだ時の仁の顔は

今まで見たことないくらい優しそうで

私が初めて見た表情だった。


「なんか、夢みたい。」


仁が行ってしまったら、夢は覚めて終わってしまうんじゃないかって

錯覚するくらい

私にとっては、非現実的なことで。

しばらく私はその場から動くことができなかった。


[りのside end]