高校での生活が始まって、2ヵ月くらいが経った頃。

私はいつも通り、悠の部活が終わるまで体育館でその様子を眺めていた。


「ゆーらー。」

「あっ、りのちゃん!お疲れー。」

「お疲れって言っても、私マネージャーだし笑」


初めは入るかどうか渋っていたりのちゃんだったけど

天海くんにおされて、結局今はバスケ部のマネージャーさんだ。


「もーちょいで今日の練習終わりだから。」

「はぁい。」


いい加減立っているのに疲れて、体育館の端のほうに座りこむ。

少しだけ夏を感じさせる風が、気持ちよかった。


「危ない…!」


目を閉じてうとうとしていた私は、体育館を響くその声で目を覚ました。


「きゃっ…!」


目の前には、すごい勢いで飛んできたであろうバスケットボール。

私は思わずもう一度目を閉じた。