恋する猫と魔法使い

ホタルはそれを尻に付けるとまた再び空に向かって飛んでいく。

ホタルはそのまま玉を光らせるのではなく、月に向かい月の光を浴びる。

光を十分浴びると、尻に付けられた玉が光ってることを確認してまた空に光を振り分け始める。

それが終わると月に再び向かい光を浴びてゾラ君のところに戻ってくる。

ホタルが振り分けた光の浮かぶ空は少しいびつで空に丸いものがポツポツと浮かんでいる感じ。

ゾラ君はそのいびつな空を見つめて奥の方へ行き棚から筆を取り出す。

窓を閉め窓の上から真剣な表情で絵を描き始める。

絵が書き終わると、ゾラ君は指を鳴らしてせっかく描いた絵に水をかけ消してしまう。
 

「絵、うまいんですね。せっかく描いたやつ消してしまっていいんですか?」
 

気が付くとそんな言葉が出ていた。

ゾラ君の代わりにミアさんがアタシの横で答える。
 

「いちいち描いた絵をもったいないって言っていてどうするの?ゾラ君は毎日描いてるのよ?」