彼は、私を空港まで送りたいと連絡をくれた。
 私は素直に喜んでお願いした。


 彼は私がバスかから降りると、手を上げて待っていた。


「お久ぶりです」


「荷物持ちますよ」

 彼は大きな私のスーツケースへ手を伸ばした。



 私は彼の運転する車の助手席に乗り、空港へと向かった。


「そういえば、神谷が結婚するらしいですよ」


「え―。美也さん良かったですね」
 私は本当に嬉しくて両手を頬に当てた。


「えっ。神谷達の事、知っていたの?」

 えっ、彼はもしかして気付いていなかったのか?


「そんなの、四人で飲んだ時に気が付きましたよ。まさかとは思いますけど、海原さん知らなかったんじゃないですよね?」
 私は恐る恐る聞いた。


「その、まさかですよ。言ってくれなきゃ分からないよ」


「うっそ―。恋人同士ならではの行動だったじゃないですか?」


「僕は、あなたしか見ていませんでしたから」
 彼はふてくされたようには口を尖らした。


 時々、彼はしらーっと恥ずかしくなるような事を言う。

 でも、やっぱりちょっと、かまってみたくなってしまう。


「あっ。すみません…… でもねぇ」


 私は横目で彼を見て笑い出してしまった。

 彼も笑った。

 本当に面白い人だ……