「…お前さぁ、
明日から目覚まし5個は用意しとけ」
樹はそう嫌味に言うとハァっと溜め息をつく。
「…5個は無理だよぉ
でもさ?
なんだかんだ樹は待っててくれるよねっ」
あたしがそう言ってニッコリ笑うと、樹は少し嫌そうな顔をする。
「何…?待たない方がいいわけ?」
い、いやぁ…、そういうわけじゃ。
「…ううん、そうじゃなくて、ね?
あの…、樹、こないだも誘われてたでしょ?
“一緒に学校行きませんか?”って、だからいつも待たせちゃってるし、…いいのかなぁ?ってね…」
しどろもどろになりながら、あたしはそう言うとチラッとだけ樹を見た。
…う゛、…不機嫌。
「愛梨はさぁ、いいの?
…俺が他の奴と行ったり、一緒にいたりしてても」
な、なんでそんな怒ってるわけっ!?
「…べ、べつに、
樹が誰となにしようと…、あたしには関係、ないじゃない?」
何故か最後は疑問形になりながらも、あたしはそう答えてみせた。
「ふぅん…、分かったよ」
樹はニッコリとあたしに笑顔を向けると、そのまま一人で歩いて行ってしまった。
「ちょっ!?…樹!!」
あたしが声を掛けても樹は、振りかえることもなく…
…意味分かんないっ!
本当…、何なの?

